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レンゲつむか花つむか(鬼ごっこの歌)隠岐の島町中町

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歌詞

歌い手 渡辺のぶ子さん・大正14年(1925)生

レンゲつむか 花つむか
今年のレンゲはよう咲いた
捨てておくより  つんだほうがましじゃ
 耳輪じゃスッポンボン
 耳輪じゃスッポンボン
※わしもネンジ(「仲間」のこと)にしてください
 あなたのお国はどこですか
※信州信濃の山の中
 あなたの御飯はなんですか
※あずきめし
 あなたのおかずはなんですか
※蛇の黒焼き(※印の行は鬼が歌う)

(昭和47年7月23日収録)


解説

 渡辺さんからわざわざお便りをいただいたが、その中にこの歌があったのでご紹介する。
 これはつかまえ鬼の遊びを行なう際、その前奏曲として歌われる。
 まず、鬼以外の子供たちが大勢輪になり、両隣同士で手のひらをたたきあいながら「レンゲつむか花つむか」から「つんだ方がましじゃ」までを合唱する。「耳輪じゃ」では手を耳のところでクルッとまわし、「スッポンポン」で手をたたく。これで序曲は終わり、こんどはぐっと趣好が変わって、鬼とみんなのかけあいの形で歌は続けられる。そして「あなたのおかずはなんですか」のところでは、すでに子供たちは半ば逃げ腰になり、鬼が「蛇の黒焼き」と答えをのを合図に四散し、鬼ごっこが始まるのである。やがて鬼はだれかをつかまえると、こんどは交代してその子が鬼になり、この遊びはくり返される。
 渡辺さんのお便りでは鬼の位置については触れられていなかったが、同類から察してうたっているときは輪の中央にいるのではないかと考えられる。
 それにしても、なかなか工夫をこらした遊びである。内容を分析すると、
 ①斉唱(手あそび)
 ②メドレー
 ③鬼ごっこ
以上の三段階になる。まるで子供たちの興奮した息づかいが、つい身近に聞こえてきそうな気さえするではないか。
 なお「ネンジ」なる語は「なかま」の意味。石見地方では「なかまに加わる」ことを「ニンズウ(人数)になる」といっているが、ネンジはこのニンズウのなまったものであろう。
 ところで、隠岐のこの歌と同類の一つを筆者も大田市三瓶町池の原で以前に収録していたので、ここに紹介しておく。

①セッセッセ バラリコセ
 今年のボタンは よいボタン
 お耳を回して スッチャンチャン
 もひとつ回して  スッチャンチャン
※遊ばうや
 やぁだ
※なして
 なしても
※ミカンあげるけえ
 ミカン坊主がおるけえやぁだ
※ナシあげるけえ
 ナシ坊主がおるけえやぁだ
※フンならうちの前を通ると 箒でぶちまくるよ
 フンならよしたげらあ

②セッセッセ バラリコセ
 今年のボタンは よいボタン
 お耳を回して
 スッチャンチャン
 もひとつ回して
 スッチャンチャン
※帰るよ
 なして
※なしても ハアこはんだけえ
 ばんのおかず なんだ
※へびとマムシ
 ワァーツ

(歓声をあけてみんなは逃げ、鬼ごっことなる。※は鬼になった子が歌う)
ー伝承者、石橋みゆきさん(九歳)ほか・昭和36年収録ー

 この大田市のになると少し複雑になり、ひとまず鬼を仲間に入れて遊び、次いで②の歌の結論として鬼がおかずの正体をあかした後、初めて鬼ごっことなるのてある。つまり①では鬼に対して何らかの異和感を覚えて最初は仲間に入れないのであるが、ついに正体を隠した鬼の懇願に負けてしぶしぶ仲間に入れる。しかし、最後で正体を知ったとたん、仲間意識は消しとんで、鬼は異なった世界の恐ろしい者という評価に変わり、子供たちば逃げてしまうのである。隠岐のももちろんこれと同じモチーフである。
 さて、それでは異和感を抱かせる鬼の正体は何者だろうか。特に石見地方で「鬼ごっこ」を「鬼ゴト」と今でも子供たちが呼んでいる点と考え合わせるき、「鬼コト」の「ゴト」が、聖なる儀式を意味する「神ゴト」の「コト」に通するものを感じ、かつての民間信仰上、祖霊の化身の零落した姿を鬼に求める飛躍をあえて承認したい気持ちが筆者には強く働くのであるが、これについてはスペースの関係で説明の舌たらすに終わるのがいかにも残念である。


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