ふるさとまとめて 花一匁・外遊び歌(雲南市木次町法印)

語り(歌い)手・伝承者:内田絹子さん(昭和15年生)

A組 ふるさとまとめて 花一匁
B組 ふるさとまとめて 花一匁
A組 だれだれさんがほしい
B組 だれだれさんがほしい
A組 だれだれじゃ分からん
B組 だれだれじゃ分からん
A組 ○○ちゃんがほしい
B組 △△ちゃんがほしい
A組 そんならやめた
B組 そんならやめた
A組 じゃ××ちゃんがほしい
B組 じゃ□□ちゃんがほしい
A組 ××ちゃんがほしい
B組 ほんならあげる
B組 □□ちゃんがほしい
A組 ほんならあげる
(両方から指名された子が出て、引っ張りあいをし、勝ったA組が負けたB組の子を自分の組に入れる)
A組 勝ってうれしや 花一匁
B組 負けてくやしや 花一匁

(収録日 平成4年12月11日)

解説

 今でもこの「花一匁」の遊びは、あちこちで行われている。そして歌い出しは地域によっていろいろ違うようである。少し眺めて見よう。
「箪笥長持ちどなたがほしい」(邑智郡川本町川本)とか、「箪笥長持ち花一匁」(浜田市三隅町福浦)、「花一匁、花一匁、ふるさとまとめて花一匁」(浜田市三隅町小野)。あるいはここにあるようにいきなり「ふるさとまとめて花一匁」で始めるというようになっているのもあるようである。
 この歌の遊び方であるが、子どもたちが二組に分かれる。同じ組の子ども同志が腕を組んで同時に前進したり、後退したりしつつ、この歌をうたいながら、詞章に合わせた行動を取って、指名された子どもが引っ張り合って優劣を競い、勝った方が凱旋歌というべき「勝ってうれしや花一匁」とうたい、負けた方は「負けてくやしや花一匁」とうたって一段落するのである。そして負けた子どもは、勝った方の組に入って、再び遊びが繰り返される。
同類の歌には、地方によってはその出だしの部分が「ふるさとまとめて…」でなく、「箪笥(たんす)長持どなたがほしい…」と始まったり、いきなり「○○さんまとめて花一匁」とうたい出しで始まったりしているが、遊び方は同じである。
 ところで、松江市島根町野波では同じ遊びながら、歌の詞章の全く異なった次のものがあった。

地蔵 地蔵
おい おい
子を一人ごしゃれ
なんて子がほしけりゃ
○○てぇ子がほしいわ
何食わせて養や
殿さんのご膳に
砂糖餅三つ
そぉがほんにだいがほ
だいが骨なら
イカ添えて食わせる
そら行け そら行け
(余村善訓さん・明治19年生)

 歌の詞章の意味もすでに不明になってしまった部分もある。そしてこの遊びを「地蔵遊び」と称していた。これがいつしか現在の「花一匁」の子取り遊びになっていったのであろう。