おしろべさん・手まり歌(隠岐郡西ノ島町赤ノ江)

語り(歌い)手・伝承者:扇谷ゲンさん(明治36年生)

おしろべさん
ほんさまさん
ほんさま大将の お留がお城で
お駕寵がいつふけ
いっさま どん
しまびが どん
さいたか どん
どんどん がめさん
泥亀さんや
格子のばに百二十四
ひーにゃふー
みーにょー
いーつにむう
ななにやー
このにとお
とんとんたたくは だれさまだ
新松紺屋の奥さんだ
奥さん何しにおいでたか
雪駄が替わって替えに来て
あなたの雪駄はどんなんだ
お紺と紫 あいびろど あいびろど
芋 芋 芋 芋 芋安い
小芋が一升でなんぼする
十四文でございます
もひとつ負からか ちゃからかほい
あまふらし
おじぇんが枕に 血がついて
血ではないさな 紅ださな
こな婆さん 縁から見れば
手まりや ようつく
あがらな言葉
あがる言葉の うれしけれども
ここのごまがた
読んでごしぇ
書いてごしぇ

(収録日 昭和60年8月21日)

解説

 若い世代からは聞かれなくなった歌だと思われる。
 それにしてもかなり長い手まり歌である。扇谷さんは一つの歌としてうたってくださったが、よく見るといくつかの歌が融合していることが分かる。まず出だしの部分から、「このにとお」までが一つである。続いて「とんとんたたくは」から二つ目であるが、これについては、鳥取県三朝町木地山の独立した手まり歌で眺めておこう。

とんとんたたくは だれさんじゃ
新町ゴウ屋の菊さんじゃ
菊さん何しにおいでたか
雪駄が替わって替えに来た
おまえの雪駄は 何雪駄
お紺に紫 あいびろうど
そんな雪駄は うちにゃない
あるものないとて くれなんだ
やれやれ腹立ち業(ごう)あきや
わしが十五になるときに
西と東に蔵建てて
蔵の回りに松植えて
松の小枝に鈴下げて
鈴がシャンシャン鳴るときにゃ
ととさんもかかさんも
うれしかろ 悲しかろ
スットントン
(小椋智寿江さん・昭和9年生)

 扇谷さんの歌では、三朝町木地山の歌の途中になる「あいびろど」あたりで次の歌に変わっている。
 すなわち、「芋…」以下である。さらに言えば「おじぇんが枕に血がついて…」から別な歌になっているのであるが、字数の関係で、ここでは残念ながら全文を紹介する余裕がない。