カラーン カラン・縄とび歌(江津市桜江町谷住郷)

語り(歌い)手・伝承者:本山のり子さん(昭和26年生)ほか

カラーン カラン
カラーン カラン
みなさん
おはようございます
出席とります ○○さん
はい(返事をする)
△△さん
はい(返事をする)
□□さん
はい(返事をする)…
一時間目は体操
オイチニ オイチニ
二時間目は音楽
春の小川は
さらさら行くよ
岸のスミレや
レンゲの花に
姿やさしく 色美しく
咲いているよと
ささやきながら

(収録日 昭和36年9月29日)

解説

 子どもの応用力にはなかなかたくましいものがある。これは学校の様子を自由に取り入れた縄跳び歌であり、近年作られたものであることは、後半の学校唱歌の挿入から分かる。この歌は今から半世紀以上も前に江津市桜江町谷住郷市地区で聞いたものであるが、子どもたちが生き生きとはりきってうたってくれていた。
 「カラーン カラン」というのは、始業の合図など手で鐘を振って音を出した昔の状況が、うかがえる。そして先生役の子どもが、遊びに参加している人数だけ出席を取り、後は合唱しながら、全員で縄跳びをしていたように記憶する。
 このように学校生活がうたい込まれた新作わらべ歌の存在は、いったい何を意味しているのであろうか。
 それは充実した楽しい学校生活が、自然に展開されていることを示していることはいうまでもないであろう。今日ではこうした雰囲気は、どこまで残っているのだろうか。
 ところで、おもしろいことには、同じ桜江町でも、谷住郷市地区から少し離れた川越地区であるが、同じ時期に似たような仕組みの次の縄跳び歌が見つかった。

先生(せんせ)おはよ
みなさんおはよ
今度の時間は何ですか
算数
一二三四五六七(ひち)八九十
良くできました
隣の教室行きなさい
先生おはよ
みなさんおはよ
今度の時間は何ですか
国語
あいうえお
良くできました
掃除をして帰りなさい (服部和美さん。昭和26年生)

 地域が変われば、歌も変わるものである。同じ桜江町内とはいいながら、両者は微妙に違っている。しかしながら、中を貫く学校生活を明るく肯定している精神は、全く同じなのである。
 その後、似たような歌はないかと、わたしは注意しながら収録を続けているが、不思議なことにその後、同類にはついぞ出会ったことがないのである。