二宮金次郎さんは・手遊び歌(松江市八束町波入)

語り(歌い)手・伝承者:門脇良子さん・昭和34年生

シュッ シュッ シュッ
二宮金次郎さんは
涙をポーロポロ
ポーロポロ
そのまた後から
ふーいてね ふーいてね
そのまた後から
洗あてね 洗あてね
そのまた後から
しぼぉてね しぼおぉね
そのまた後から
干してね 干してね
そのまた後から
たたんでね たたんでね
そのまた後から
しまってね しまってね
そのまた後から
ねずみががーりがり がーりがり
そのまた後から
泣き放題 泣き放題

(収録日 昭和44年7月24日)

解説

 この歌をうたいながら、詞章の内容に合わせて、動作をして遊ぶものである。詞章は即興的に作られることもあり、うたってくださった門脇さんも「泣き放題」の部分は、「その場で思いついてつけました」と話していた。
 どうやらそのようにして、そのときの気分に応じて次々と詞章を継ぎ足して続けていったものらしい。
 同類の歌を眺めてみよう。石見の江津市桜江町川越では、

うちの権兵簡さんは
困るね 困るね
時々涙を
ポーロポロ ポーロポロ
ポロポロ涙を
ふきましょ ふきましょ
ふいた後から
洗いましょ 洗いましょ
洗った後から
絞りましょ 絞りましょ
絞った後から
取りましょう 取りましょう
取った後から
たたみましょう たたみましょう
たたんだ後から
干しましょう
干しましょう
干した後から
しまいましょ しまいましょ
しまった後から
ねずみさんが
ガーリガリ ガーリガリ
ガリガリ後から
出しましょう 出しましょう
出した後から
着てみましょう 着てみましょう
着てみた後から
似合いません 似合いません
似あわん後から
売りましょう 売りましょう
売った後から
銭もうけ(米原みえこさん・昭和27年生)ほか

 このように米原さんたちは楽しそうにうたっていたが、動作をしながら連鎖反応的に、次々と話題を継いでいく方法は、最初の松江市八束町波入の歌と全く同じである。
 文芸で例えてみれば、まるで俳諧連歌の手法につながるような感じである。