おさら・お手玉歌(浜田市三隅町古市場)
語り(歌い)手・伝承者:西田常子さん(昭和22年生)、西田悟さん(昭和23年生)、西田美智子さん(昭和24年生)
おさら
お一つ お一つおろしておさら
お二つ おこつおろしておさら
おみんなおさら
おてしゃみ おてしゃみおろしておさら
おはさみ おはさみおろしておさら
おちりん おちりんおろしておさら
手左 手左 泣き別れ
別れてくやし またおいで
でんでん虫おろして おさら
おおしがたたいておさら
おんまさんの乗せかえ 乗せかえ
乗せかえおろしておさら
お一やんのぶつつけ
お二やんのぶっつけ おさら
くんぐれ橋(ばし)ょくんぐれ おさら
さらりことつさん お一やん
お二つやん おお三やん
おお四やん おお五やん
おお六やん おお七やん
おお八やん おお九やん
おお父さん いっかんしょ
勝ちました
(収録日 昭和35年3月6日)
解説
さきにあげた「おじゃみ」の歌と並んで、お手玉歌の一方の雄がこの「おさら」系統の歌である。筆者は島根県下でも東西を問わずいくつも収録している。
ここにあげた浜田市三隅町のものは、詞章の上からいわば平均値的なものといえそうである。
というのは他地方のそれは、いっそう多彩な詞章の加えられたものが多いということになる。
ます「おさら」の語であるが、県下出雲、隠岐はもちろん、鳥取、岡山、広島、京都、はては対馬などに点々として見つかるが、同類でそれ以外の表現をとったものも多い。福井、宮城の「おさらく」富山の「おっさらい」愛知「おっさぁら」福島「おさらり」さらに宮城では「チャラリント」「ザーラリ」まであるというわけできりがない。
中にはこの語の略されたものさえある。例えば宮城県で、
お一つ、お二つ お三 おん四つ
お五つ おんみなくてごいしよくてこい(反復) おだいしてもねい(同)
しょでもねい(同) つんぶ(同)
あんめい あんめいでがくせん
ばったりがくせん びきせんめん
からせんめん たまにがし
にがしてん
あけつってからつってあけ
とんととばし
とばしたかきおうとし
おとしてがきせん
ひろうてがせん ひろうてつうけて
おんもすかって ひろうて一びう
二ひう 三びうにもてこう
こめふき ふき(同) ふき(同)
さん ぬかげいしげし小向)、げし(同)
さんさ おぜんだて
ー仙台中央放送局『東北の童謡』(昭和十二年・日本放送出坂協会刊)ー
といったぐあいである。
残念ながら採譜されていないため、メロディーは分からないが、詞章からみて、確かに同類と断定してよさそうなのである。