• ホーム
  • 民話館
  • 五月は組の寄り合い(麦搗き歌・浜田市金城町七条)

五月は組の寄り合い(麦搗き歌・浜田市金城町七条)

語り(歌い)手・伝承者:片山 イチさん・1961年(昭和36年)当時74歳

五月(ごんがつ)は組の寄り合い
教えてたもれ田姿を

田姿は教えまいらしょ
のうばは笠の輪の内

(収録日 1961年(昭和36)8月17日)

解説

 麦搗き歌の旋律は、いつ聞いてもものわびしいものがある。ここに挙げた詞章からは、麦搗きというよりは、田植えをうたった内容であることが分かる。ただ、麦搗き歌と称する歌は、元々は麦搗きのおりに用いられていたが、次第に田植え歌に転用されてきたといわれているので、それであるならば、詞章の内容に田植えについてのものがあるのも、自然な変化だといえるようである。
 さて、最初の歌の出だしである「五月」というのは、田植えを行う月のことであり、お互いの家の田植えを、組内で助け合って行うのが慣習だったから、その田仕事の相談の様子をうたっている。そして嫁に来たばかりの若妻が、組内の一人に田植えの服装を聞いている。その答えに当たるのが二番であるが、残念ながらわたしには「のうばは笠の輪の内」の意味がはっきりしない。どなたかご存じの方は教えていただきたい。
 ところで、この詞章の音節数は、それぞれ次のようである。

五月(ごんがつ)は…………………5
組の寄り合い…………7
教えてたもれ…………7
田姿を(字余り)………5

田姿は…………………5
教えまいらしょ………7
のうばは笠の…………7
輪の内…………………4

このスタイルは古代調ということになる。したがって、かなり古い時代からうたい継がれて来たことが推定される貴重な歌と思われる。
 片山さんは、わたしがうかがったおりに、他にも麦搗き歌を教えてくださった。いずれもなかなか聞くことの出来ないような貴重な詞章の歌である。せっかくの機会なので、以下にそれを紹介しておく。

麦搗いて
米に替えましょう
明日こそ米の大田よ

大田なりと小田なりと
嫁しよびよとうたわしょ

ぴよぴよと鳴くは鵯(ひよどり)
鳴かぬは池の鴛鴦(おしどり)

鴛鴦が思いこそは
羽根をば頼みこうかちょ

長浜の婿が来るやら
二人来るやら
諸刃にかけてよろおす

 最後の歌の後半は、はっきりと聞き取れなくて残念ではあるが、記しておくことにした。このところは5774のスタイルになっていないので、崩れた形であることもご留意いただきたい。