紺屋の庇にスッチョチョンがとまって(言葉遊び歌)

語り(歌い)手・伝承者:出雲市大社町永徳寺坂 手銭歳子さん・大正7年生

紺屋(こうや)の庇(へさき)に スッチョォチョンがとまって なしてとまった けだるてとまった
けだるけりゃ 田おれ 田おりゃ 冷(つめ)て 冷てけりゃ あたれ あたりゃ蚤(のん)が食う
蚤が食(か)ば 殺せ 殺さ可哀想(かわい) 可哀想けりゃ 抱いて寝
抱いて寝りゃ なおなお食らう

(平成12年2月収録)

解説

 歌の途中から後の語句を踏まえて、連鎖反応式に歌を問答形式で続けていく手法となっている。「紺屋」というのは今ごろはあまり見られなくなったが、布を染めることを専門にした店である。また、「スッチョオチョン」はスズメのこと。「けだるい」は「疲れて身体がだるい」というのだろうか。「田おれ」は「田へ降りなさい」という意味であろう。
この歌は、紺屋の屋根の庇にスズメがとまった原因をきっかけとして話が進んでいる。相手が意見を述べれば、理由を挙げて反発しているというようにして展開している。したがってこれは「ことば遊び」に属するわらべ歌と考えたい。
 各地には似た歌がいろいろと見られる。鳥取県西伯郡日吉津村では、

お月さまなんぼ 十三 九つ そりゃまんだ若いな
若もござらの いんとうござる いなさる道に尾のない鳥が 油筒くわえて
だれにやろか お万にやろか お万はどこ行った 油屋のかどで
牛の糞に滑ってやれきたな きたなけりゃ洗え 洗や冷た 冷たけりゃあたれ
あたりゃ熱い 熱けりゃ後へすざれ 後へすざりゃ蚤がかむ 蚤がかみゃ殺せ
殺しゃかわいい かわいけりゃ抱いて寝
抱いて寝りゃ なおかむ なおかむ(大道ふさよさん・明治32年生)

また、鳥取県八頭郡八頭町船岡でも、

ほーぐりほーぐり 山にけ 山に行きゃ 鉈がねえ 鉈がなけりゃ 田ぁすけ
田ぁすきゃ 足がよごれる 足がよごれりや 洗え 洗やあ冷てえ
冷たけりや あぶれ あぶりや熱い 熱けりゃ すだれ すだりゃあこける
こけりゃ つっぱいせえ つっぱいすりゃ 痛え
痛けりや 板切れに吸いつけ(浦林 寿男さん・昭和15年生)

 いずれも同工異曲である。日吉津村の歌は「お月さんなんぼ」で始まる月を愛でる子守歌の変形したものであり、八頭町のものは、最初から独立した「ことば遊び歌」である。