トンボやトンボ(動物の歌)

語り(歌い)手・伝承者:仁多郡奥出雲町上阿井 山田カツノさん・昭和39年当時80歳
浜田市三隅町森溝   金谷 ナツさん・昭和35年当時72歳

トンボやトンボ 麦わらトンボ 塩辛トンボ
もち竿持って おまえは刺さぬ 日向は暑い こち来てとまれ 日陰で休め

解説

 昭和39年8月にうかがった。
 また浜田市三隅町森溝では「日陰で休め」のところだけ省略され、次のようであった。

トンボやトンボ 麦わらトンボ 塩辛トンボ
もち竿持つとも おまえは刺さぬ
日向は暑い
こっち来てとまれ(金谷 ナツさん・昭和35年当時72歳)

 なお、金田一春彦・安西愛子編『日本の唱歌・上』(講談社文庫)によれば、「もち竿持つも」のところが「もちざをもつとも」、「こっち来てとまれ」が「こちきてあそべ」と変化している以外、全く同じ詞章で出ており、作詞者・作曲者・成立年代すべて不明であるとのことである。そして『童謡歳時記』の藤田圭雄氏によれば、関西地方で歌われていたわらべ歌の一種らしいと述べられている。そしてさらに、大正元年以降、東京神田にあった東洋幼稚園では、朝の時間の初めに全員でうたわれていた、とも記してあった。