唐人の寝言(早口言葉)

語り(歌い)手・伝承者:隠岐郡隠岐の島町津戸  小野イヨさん・大正5 年(1926)生

 唐人の寝言には
 オオショ テレスコ アンネーロ ギンカニ キンカニ キンチョウサイテテーレース イチズクヤーノ オトトコ シンタン カンポンタン イラナイショウボワ ズンベラ ボントコ ネーターカ ツウパアパ」

(昭和52年(1961)7月29日収録)

解説

 早口言葉を競って遊ぶ子どもたちに好まれた詞章であり、全国的に伝えられている。島根県内で私が収録したものには、次のものがある。隠岐の島町山田地区の吉山イナコ(大正13年生)聞かされたもの。
 唐人の寝言には
 オーオシュ テレスクネイーソウ キンカネ ギンカネ ギンチョウサイテ
 ヤータラ ボータラ オトトコシンタン カンポンタン
 ヒラナイソウカ ズウベラボン
 スットコネイタカ ツーバーバー(昭和54年8月9日収録)

 最後に隠岐郡海士町保々見でうかがった徳山千代さん(明治37年生)の、詞章は次のようである。
トコ 唐人の寝言には オーオサー サーサー マイロ オーサー テレスコ ネイソーナーネーロニ ハーネーロー デールースー イップクヤーノー ヤータラボータラ イッテコシンパン コンプンタン イタライソーカラ ズーベラボー スットコネイタカ ツーバーバ(昭和51年5月10日収録)
他でも聞いたことがあるが、私には場所がはっきりと思い出せない。
 以前、静岡大学名誉教授の故・山本節氏が「唐人の寝言考」という論文を2006年に『アジア遊学』第110~111号(勉学出版)に発表されていたが、それには青森市をはじめ、岡山県倉敷市、山口県下関市、福岡県大牟田市、長崎市の事例が収められており、維新の志士・坂本龍馬もうたっていたと報告されている。そして「座敷唄・童謡・囃子唄・早口言葉等々、さまざまにその態を変え、詞章をも変化させていったのであろう。」としておられるのである。私の隠岐郡で収録したものも氏に提供しているので、この論文で紹介されていたのである。