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猫とカボチャ

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おはなし

語り手 島根県隠岐郡知夫村古海 家中 カンさん(明治42年生)

 とんと昔があったげな。
 あるところにおじいさんとおばあさんとが猫を飼っていたって。そして、おばあさんが大根を干していたら、
「ばばよ、ばばよ、雨が降ってきたぞ」と、その猫が言ったって。
「やれ、恐ろしや。こりゃ猫がものを言うようになったら、離さにゃいけんぞ」。おじいさんとおばあさんは猫を離したのだって。
  おばあさんが麹(こうじ)などを買いに行ってもどりかけたら、紺の風呂敷を負ったきれいな女が出てきた。
「おばあさん、おばあさん、われはおまえに飼われた猫だ。われを江戸の吉原へ持ってって売らんか」
「おまやあ、吉原へ持って行って売ったてて、ニャオウ言やあ、わしゃ困るだがや」
「そげなことは絶対せんけえ、吉原へ持って行って売れば、がいな(たくさんな)お金が取れるけえ」。
  おばあさんも猫の言うことを聞いて、猫を吉原へ持って行って売ったって。
  そうしていたら、器量はよいし、お客はどんどんつくし、船頭が迷って行っていたのに、その女がもう寝たと思ったのに、耳がピリッピリッピリッピリッと振れるのだって。
「こりゃぁ、人間の耳が振れるはずはない」。船頭はそう思って、またじっと見ていると、一時(いっとき)したらやはり耳がピリピリピリピリッと振れる。
「こりゃ、人間じゃない。定かならぬ者だ」と船頭は、その女を殺したのだって。そうしたら、そこの帳場の者が船頭をいじめかけたのだって。しかし、船頭は、
「もう少し待ちなさい。一時したら、どんな者になるか分からんけえ」と言ったって。そうしているうちに、その女が大きな大きな大猫の死体になったって。それでそこへ葬ったのだって。
  まもなく、そのあたりから大きなカボチャが生えて成ったって。そして船頭もまたそこへやって来たって。船頭はもともとカボチャが好きだったので、吉原の店の者が、その船頭に、
「食え」と言ったところ、
「そのカボチャは、どこからものした(生えた)か」と船頭が聞いたので、
「こうこうした」と答えたところ、
「そりゃあ、そこを掘って見にゃ承知せん」と船頭が言ったので、掘って見たところ、猫の頭のところからカボチャが生えていたって。
もしそれを船頭が食べれば、命を取られるところだったって。けれども、船頭もえらかったので、食べなかったのだって。
  それ以来、「自然生えのカボチャは食べることはできぬ」ということになったのだって。
  そのごんべのは。


解説

 昭和51年8月にお宅でうかがった話である。関敬吾博士の分類を借りると、二つの話がいっしょになったものといえる。両者とも「本格昔話」に属しているが、前半部は「動物報恩」の「狐遊女」の話で、ここでは狐が猫となって語られている。また、後半部は「愚かな動物」の「猫と南瓜」の話である。そしてこの二つが合体して今回の話が成立しているのである。


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