|

昭和58年7月にうかがった話である。典型的な日本昔話に属しているとお気づきになられるはずである。それは有名な「花咲か爺」とか「猿地蔵」「ネズミ浄土」などの話でおなじみの、主人公であるおじいさんは確実に成功して幸せになるのに対して、隣のおじいさんは、これまた必ず失敗して不幸な結末を迎えることに決まっているのである。この話も本格昔話の「隣人型」になるこれらの話の法則に、ぴったり当てはまることをどなたもお認めになるからである。
ところで、不思議なことにこの話は関敬吾博士の『日本昔話大成』を見ても、どこにもその戸籍が見つからない点である。いかにも自然な流れで語られるこの「身代の上がる話」であるにもかかわらず、その戸籍がないことはどういうわけであろうか。それはこのようなモチーフを持った話が、鳥取県下以外にはこれまでのところ、まだ収録されていないことを意味しているのにほかならない。しかし、いずれどこかで類話が見つかり話型として認知されることは間違いないと私は信じているのである。
|