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向こうの山で鹿が鳴く(子守歌)

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歌詞

歌い手 浜田市三隅町古市場 新田 幸一さん・明治24年(1891年)生

向こうの山で鹿が鳴く
鹿どん 鹿どん なぜ鳴きゃる
何にも悲しゅはないけれど
六十ばかりのご隠居が
肩には鉄砲 手に火縄
むく毛の犬めを先につれ
虎毛の犬めを後につれ
むく行け 虎行け けしかける
それがあんまり怖ろしゅて
助けてやんさい 山の神
助けてもろうた御礼に
岩山崩して谷を埋め
一間四面の宮を建て
金の灯籠を千とぼす


(昭和35年1月12日収録)


解説

 ゆったりとした口調で新田さんはうたってくださった。物語の内容から、わたしは子守歌の中の間接寝させ歌か遊ばせ歌に分類したらよいと思うが、当時は単にわらべ歌という注文でうたっていただき、それがどの分野に属しているか知らなかったのである。
 先年、三隅中学校長だった神本晃氏から便りをいただいた。表紙に「明治四十年四月改之」と記された岡崎伊勢次氏による『地方之俗謡』なる文書を持っているが、中にわらべ歌がいくつか入っている、とのことだった。それには「手まり歌」として次の歌があった。

向こうの山で鹿が鳴く
鹿さん鹿さん なして鳴く
六尺五寸の男めが
肩には鉄砲 手に火縄
後には虎毛の犬をつれ
先にはむく毛の犬をつれ
虎行けむく行け追っかける
それがあんまり怖ろしうて
助けてやんなれ山の神
助けてもろうた御礼には 一間四方の宮を建て
金の灯籠を千とぼす

 ここから分かるように、明治のころ、この歌は当地で盛んにうたわれていたのである。
同じ島根県でも隠岐島では、わらべ歌というのではなく、大人の世界の祝い歌に属する「相撲取り節」として存在していた。

ハアーここのまた奥山の そのまた奥山にヨー
ハアー鹿が三世鳴きなんす
かんじが強うて鳴くかいな
腹がひもじゅて鳴くかいな
親に恋しゅうて鳴くかいな
かんじが強うて鳴くじゃない
親に恋しゅうて鳴くじゃない
腹がひもじゅうて鳴くじゃない
ここの奥の その奥に
六十余りの老人が
肩には鉄砲ふりにない
腰には弾筒(たまづつ)一升ずつ
これがおぞうて鳴くわいな
助けてくだされ 山の神
助けてくれれば礼をする
岩鼻を崩いて宮建てて
宮の回りにごままいて
十二の燈籠とばします
またえどころがしおらしや
助けてくだされ ノウ ホホー 山の神ヨーヨ(※)イコラ ヨイコラ
ー西ノ島町赤之江・小桜 シゲさん・明治42年(1919年)生ー

 さらにつけ加えれば、同類ははるか東北の民謡「津軽小原節」や「秋田小原節」の詞章として現在でも広く歌われているのである。


使い方

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